胸鎖乳突筋（きょうさにゅうとつきん）は胸骨と鎖骨から耳の後ろの骨の突起（側頭骨の乳様突起）まで伸びる筋肉で首の筋肉の中ではもっとも目立つ主要な筋肉のひとつです。

胸鎖乳突筋は首の両側にあり、左側の胸鎖乳突筋が使われると頭を右側へ振り向ける動作が起こります。同様に右側が使われると左側へ振り向ける動作が起こります。また、うなずくような頭を下へ向ける動作では、両側の胸鎖乳突筋が使われ縮みますが見上げる時は、主に使われる筋肉とはなりません。

日常生活では、後ろへ振り向いたり下に向いたりという動作が多いので胸鎖乳突筋は損傷しやすい筋肉であるといえます。先天的に片側の胸鎖乳突筋が短いと斜頚の原因にもなります。

交通事故などによって首に無理な力が掛かり反り返った際、胸鎖乳突筋も引き伸ばされるので損傷することがあります。日常的にアイソメトリックスを行いトレーニングをしておくことでそれに備えることができます。

また、風邪などの感染症にかかると胸鎖乳突筋の内側に多数存在するリンパ節が腫れることがあります。この時、胸鎖乳突筋に圧迫や刺激が加わり緊張を起こしやすくなります。以上のような時、この体操が有効です。

１．姿勢を正して両手のひらを前頭部に軽く当てます。

２．あごを胸につけるように首（頚部）だけお辞儀するように曲げそれに抵抗するように両手のひらで力を加え6〜7秒保持します。

これを5〜8回繰り返し行います。

アイソメトリックスを行う頻度は毎日ないし一日おきが理想的です。また、入浴後に行うと効果的です。

過度に力を加えることは筋肉の損傷につながる可能性があるので注意が必要です。必ず無理のない範囲で行うことが大切です。もし痛みなどを感じた場合は直ちに中止して安静にして下さい。