●説明

鳥インフルエンザは感染した鳥類からヒトに感染する病気です。ただし、感染した鳥に濃厚に接触した場合に限って稀に感染するものであり、幸い日本ではまだ発症者は出ていません。その濃厚接触とは鳥の排泄物や死体などに直接接触することなので、通常の生活をしている限りそのような事はなく、無闇に恐れる事はありません。

感染もとの鳥では東南アジアを中心に、中東、ヨーロッパ、アフリカなどで確認され、ヒトへの感染はアジア、中東などで報告されています。また、ヒトからヒトへの持続的な感染はまだハッキリとは確認されていません。

●鳥インフルエンザとは

原因の病原体はH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスです。ヒトへの感染の潜伏期は１〜１０日で、突然の発熱、咳、倦怠感筋肉痛など通常のインフルエンザに見られる症状の他、重篤な症状により死に至るなど様々な症状が現われます。

通常のインフルエンザに比べ初期段階から肺など下気道（肺など）症状が現われるのが特徴で、これらが急速に悪化する傾向があります。致死率は２００９年の解析では４４％と非常に高く、早期の診断と入院治療が有効であるとされています。

●鳥インフルエンザに罹ってしまったら

鳥インフルエンザか否かは上記のような症状の発症前１０日間に鳥の鳥インフルエンザ流行の地域に行くか、鳥インフルエンザを疑わせる病鳥や死鳥、またはその排泄物などに濃厚な接触をした場合、これを疑います。

このような場合は最寄りの保健所に相談し、適切な処置を受けなければなりません。ここではインフルエンザA型が陽性になっているにもかかわらず、H１N１亜型でもH３N２亜型でもない場合鳥インフルエンザを疑います。

また、鳥インフルエンザはウイルスが主に肺で増殖するため迅速診断キットでは陽性にならないことも多いことを考慮しなければなりません。

●鳥インフルエンザの予防と対策

鳥インフルエンザのヒトへの感染は鳥インフルエンザに罹った鳥への濃厚な接触が原因なので、これさえ避ければ基本的には罹りません。

鳥インフルエンザが流行している地域に渡航する際は生きた鳥を扱う場所に近付かない事です。更にどうしてもそのような場所に出入りしなければならない場合は医療用マスク、ガウン、ゴーグルを着けその後の消毒を徹底して下さい。

現在行なわれている鳥インフルエンザの治療は感染初期の段階でのノイラミニダーゼ阻害剤の使用です。また、アマンタジンなどの併用も効果的であり、この際も重要なのは出来るだけ早期に薬の投与を開始する事です。

尚、現在使われているヒトのインフルエンザワクチンはヒトの間で流行しているウイルスに対するものであってH５型やH７型などの鳥インフルエンザに対しては効果が期待できません。