PTSD 〜災害・事故後に起こる心の病〜

説明

東日本大震災の被災者の中には「ふと津波のことを思い出して怖くなる」「眠ることができない」「集中できない」というような症状に今も苦しんでいる人がいます。
台風や地震などの大きな自然災害、命に関わるような事件や事故などを経験した人が、その時に負った心の傷のため、一ヶ月以上にわたり、精神的な症状に苦しむ病気をPTSD(Post Traumatic Stress Disorder心的外傷後ストレス障害)と言います。
ベトナム戦争後のアメリカで帰還兵が、精神的な症状に悩まされる事態が起こりPTSDの研究が始まりました。日本では1995年の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件の後、PTSDの症状を訴えた被害者が増えたことから注目され始めました。

PTSDとは

主要な症状は以下の3つです。
・再体験
つらい体験を夢にみたり、また突然記憶が飛んだような状態になり事件・事故の記憶が蘇るフラッシュバックと呼ばれる現象が起こります。
・回避・麻痺
つらい体験を思い出すことを恐れ似たような状況を極端にさけたり、何事にも興味がわかなくなる症状です。つらい体験を避けること自体は自然な反応ですが、度を越すと行動範囲を狭めてしまいます。
・過覚醒
常に緊張し続けていて、ちょっとした物音でも飛び上がるように驚いたり、周りで人が動くとビクッとしてしまいます。身の安全を確信できないためで集中できない、寝られないなどの症状が現れます。

もしPTSDになってしまったら

治療には2段階あります。まずは1段階でPTSDが悪くならないようにする「応急処置」が行われます。安心感を与えることに重きを置いて治療に当たります。薬物が使われることもあります。その後、心理療法などを使い、「トラウマへの対処」を学んでいきます。記憶を消そうとするのではなく、体験を受け入れて少しずつ安心感を高めていく作業になります。医師が患者の恐怖心を引き出しながら安心感を与えて、恐怖心の克服を目指す「暴露療法」や、患者が目を動かしながら体験を思い出していく「EMDR(Eye-Movement Desensitization and Reprocessing眼球運動による脱感作および再処理法)」といった心理療法が普及しています。どちらも専門家が行うものであり、PTSDの症状が出たら速やかに医療機関で受診してください。

PTSDにならないようにするには

PTSDはひとりでは抱えきれないほど大きな心の傷から、自分を守るために一部の感覚を麻痺させるという自然な反応によるものであり、避けることはできません。ただし、PTSDの発症率はつらい体験をした人の5〜10%と言われています。直後には症状を呈した人も多くの場合、徐々に時間が解決します。身の安全を確保したら、ひとりで抱え込まずに体験を話して分かち合うことが回復への第一歩となります。

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