ヒポクラテスが急性病に対して食餌法を重要視した。特に熱病の患者には大麦粥を与えるのがよいとした。しかし他の医者たちは患者が大麦を粒の状態が残ったまま飲み込むのは有害だと判断して、亜麻布を使って大麦粥を濾したうえでその汁を与えた。
この当時、一般の人たちは医術などどこにも存在しないかのように考えていた。なぜなら、一般の人々は医術は占いの術に似ていると思っていたからである。ところが、ヒポクラテスは食餌法を考えることはきわめて有益で、医術が抱える多くに重要な問題と関わっていると信じていた。実際、食餌法はどんな病人が健康を回復する場合でも、健康な人がそれを維持する場合にも、叉運動選手が体調を上手く整える場合でも大変重要なことである。
東洋の教えに、「正しい食事をしておれば、病気にならない。病気になったら食事を正しくすればよくなる。それでもよくならないときは薬を使えばよい」とある。西洋の医学の父ヒポクラテスも「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」と言っている。西洋でも東洋でも共通しているのは「食事を正すことなくして、健康はなし」という考え方である。急性病でも慢性病でも食餌療法が一番よい方法だと古代では考えられていた。