ヒポクラテスの言う「人間の本性(自然性)」は人体病理学説の基礎になったものであり、人体の自然性を構成するものとして血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁の4つがあるとしている。さらに病気の原因に関して上記4体液の相互の関係に季節など外的な要因を加えて解説している。
生命の誕生についてみるならば、それはあるもののみからではどのようにしても起こることはない。あるものが別のものと交わること、しかも同類で同じ性質を持ち合わせているものと交わらなければ生命の誕生は起こりえない。さらに対等の立場にない、一方が他方より著しく勝っていたり、強いものが弱いものより著しく優勢でなければ生まれることは起こりえない。よってお互いに対等に交わるということが不可能の場合はいくら多くのものが存在しても生まれないように、当然あるもののみから何かうまれることはない。
すべてのものの自然性において、人間は唯一つからできるものではなく、生殖に預かった個々が提供された性質を体の中に保持している。また反対に人が死に絶えるときには湿なるものは湿に、乾は乾に、熱は熱に、冷は冷に立ち戻るのが必然である。
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