米国の現状

アメリカの医療体系では、医師を3つに分けています。メディカルドクター(Medical Doctor=MD)、オステオパシ−ドクター(Doctor of Osteopathy=DO)、それにカイロプラクティックドクター(Doctor of Chiropractic=DC)です。

MDは、投薬、外科手術、放射線療法などを行う、いわゆる現代医学の医師です。DOは、骨疾患を中心にして、脊椎や手足を専門に外科手術、調整、そして投薬の一部を行う医師です。DCは、頭蓋骨、脊柱、骨盤を調整治療して、患者の神経生理機能を高めて強化する医師です。この3種のドクターはそれぞれの分野で専門的な診療を行います。もちろん、全州において各種保険が適用され、医師としての独立した地位が保障されています。

このように、アメリカではカイロプラクティックが三大医療機関の一つとして社会に大きく貢献しています。実際にはMDとDOの差は少なく、自然医療といえばDCが代表的で、校医や産業医、地域のホームドクターとして健康管理に重要な役割を果たしています。

DCの社会的地位が年々向上し、その責任が重くなるのに対応して、教育制度も充実してきています。アメリカでDCになるには、パーマー・カイロプラクティック大学のような専門大学でインターン期間を含めて合計6年間の修学が必要です。

授業科目と単位習得時間数は、ほかの一般医科大学と基本的には同じです。解剖学、生理学、病理学、内科学、外科学、微生物学、小児科学、産婦人科学、それに耳鼻咽頭科学までを基礎医学として習得し、さらに哲学、心理学、生物学などの一般教養をも身につけることが義務付けられています。加えて、専門分野であるテクニックや診断学およびレントゲン学(X線学)などを重点的に学びます。

アメリカのカイロプラクティック関係の医科大学は、連邦政府公認や準公式などあります。パーマー・カイロプラクティック大学(アイオワ州ダベンポート)が代表的ですが、ナショナル健康科学大学(イリノイ州ランバート)、ローガンカイロプラクティック大学(ミズーリ州セントルース)なども有名です。こうした大学を卒業しても、医師資格を得るには全米国家試験に合格し、さらに各州別開業資格試験に合格する必要があります。その後にやっと一般開業医になれるのです。

また、カイロプラクティック医学研究所には州立大学に付属した独立機関があり、連邦政府から多額の資金援助を受けて実験を行い、新しい医療の開発に務めています。臨床的な実験をしている病院も多く、毎日多くの患者がそこを訪れて、研究の成果を上げています。

専門の学会として代表的なものはパーカーセミナーがあります。このセミナーは年6回、全米の大都市で開催していて、毎回2000名以上の医師が集まって研究発表を行っています。このほかにも、国際仙骨・後頭骨テクニック(SOT)研究学会、国際頭蓋病学会、アプライドキネシオロジー学会などがあります。こうした学会が開催されると、ヨーロッパ、オーストラリアや日本など、世界各地から医師が集まってきます。

また、アメリカには、国際カイロプラクティック協会(ICA)とアメリカンカイロプラクティック協会(ACA)の二つがあってお互いに切磋琢磨し合い、組織、研究、技術などすべてにおいて先進国であり、国民の大きな信頼を得ているのです。


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